経済危機の中でCSRを考える〜序章
経済産業研究所コンサルティング・フェロー・藤井敏彦氏インタビュー
100年に一度の経済危機。世の中にはこんな声が聞こえてきます。
このご時勢にCSRなんかやってる場合じゃない。
こんなことを言う人も多いようです。
「CSRなんかやってるヒマがあったら、雇用問題を何とかすべきだ」
御説ごもっとも。
そう感じてはいませんか?
少なくとも僕には、このような声に対する有効で説得力ある反論は聞こえてきません。
日本の社会セクターには苦い記憶があります。
企業のフィランソロピーです。
80年代バブルの時、大企業はこぞってバブルを儲けた金をフィランソロピーにつぎ込み、バブル崩壊と共に一斉に手を引きました。
CSRもあんな風にならなければいいね。
企業のCSR部の人も社会セクターの人も、みんなそんなことを言ってたのに、またまた同じような状況になってしまってます。
このご時勢だからこそ、CSRが大切だ!!
そんな理屈をちゃんと説得力を持って語ってくれる人はいないのか?
そう考えて探してみたらちゃんといたのです。
経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤井敏彦氏であります。
藤井氏の主著には次の二つがあります。
「ヨーロッパのCSRと日本のCSR―何が違い、何を学ぶのか。 」
「アジアのCSRと日本のCSR 持続可能な成長のために何をすべきか」
この二冊は、CSRというものを考えるにあたり、多くの示唆に富んでいる。CSRに関わるものにとっては必読の書であると感じました。同時に、もっと深く、突っ込んだ話を藤井氏に聞いてみたいと思い、インタビューすることにしました。
何故なら、
企業が持続的に発展していくためにCSRは必要であることが、藤井氏の著書を読んだり講演を聴くと理屈としてよく理解できるということであります。
詳しくは著書を読んでいただきたいのですが、僕なりに要点をまとめると、
社会が崩壊すると企業活動も成り立つわけがない。社会を維持するのは元来、政府の役割だったが、政府の力だけでは解決できない問題に、企業として関わり、企業の力で解決していく。それがCSRということです。
藤井氏はこう図式化します。
解決すべき社会的な問題 ー 政府の能力 = 企業のCSR
これがCSRなのであれば、現在の経済危機の中、雇用問題こそ企業が取り組むべきでありCSRなんかやってる場合じゃない、という理屈は成り立たなくなります。
雇用問題が大きな社会問題になり、しかし政府が有効な方策を打ち出せないからこそ、企業はCSRをもっとダイナミックに展開すべきだと理解できます。
藤井氏に拠れば、そもそもCSRという概念は、90年代半ばのヨーロッパで、若年層の雇用問題が、暴動が起こるほどの大きな社会問題となり、その解決法を探る中で生まれてきた概念です。
これは、現在、日本が置かれた状況と全く同じです。
今こそ、企業はCSR!!なのです。
もう一つ。
藤井氏が主張するのは、CSRとは企業が社会のことを知るための活動だということです。
たとえば、ある企業がCSRとして途上国の社会問題に関わるとすれば、それは途上国の社会を知る、社会的なニーズを知るということであり、そのことで企業活動にさまざまなことがフィードバックできる。
今後、途上国市場はますます重要になってきますから、企業はCSRを通して有益な情報、知見を得ることが出来るわけです。
つまり、CSRは長期的な経営戦略、コミュニケーション戦略、マーケティング戦略の一環であるとも言えます。
そうすると、企業は一時の景気に左右されてCSR活動を止めるわけにはいかないということです。
多くのエコノミストは論じます。
不況の時こそチャンス。長期的な視点で企業は戦略を考えるべきだ。
つまり、不況の今こそCSR!!なのです。
以上二点。
われわれグローバルグッドニュースが、まさに今こそ、藤井氏にインタビューする必要があると考えた理由です。
幸い、藤井氏にはインタビューの申し出を快諾していただけました。
約1万字という、かなり長いインタビュー記事になりましたが、それだけの内容を語っていたけたと思ってます。雑紙や新聞ではほとんど不可能な質量のインタビューだと思います。
読者の皆様の、CSR活動にお役に立てれば幸いです。